はじめに
投資信託とETFは、長期的な資産形成において重要な役割を果たす金融商品です。両者には様々な違いがありますが、それぞれの特徴を理解し、自分のニーズに合った投資方法を選択することが肝心です。本記事では、投資信託とETFの違いや各々の利点、投資スタイルへの適合性などについて詳しく解説していきます。
投資信託とETFの違い
投資信託とETFの最大の違いは、上場の有無です。投資信託は非上場の金融商品で、金融機関の窓口で購入します。一方、ETFは取引所に上場されている投資信託の一種で、株式と同様に売買できます。このような違いから、取引方法や取引コスト、価格変動のリアルタイム性など、様々な点で異なる特徴を持っています。
取引方法の違い
投資信託は1日1回の基準価額で取引されますが、ETFは株式と同様にリアルタイムの市場価格で売買できます。つまり、ETFは指値注文や成行注文が可能で、自分の希望する価格で取引することができます。また、投資信託は基準価額での購入のみですが、ETFは売り買いの両方が可能です。
このように、ETFはリアルタイムの価格変動に応じて機動的な売買ができるため、アクティブな投資スタイルに適しています。一方、投資信託は長期的な資産形成に向いているといえます。
手数料の違い
一般的にETFの方が投資信託よりも手数料が安く設定されています。ETFは株式と同様の売買委託手数料がかかりますが、投資信託には販売手数料や信託報酬などのコストがかかります。
ただし、近年は投資信託でも手数料の低い商品が増えてきています。例えば、ノーロードファンドやつみたてNISAの対象商品は、手数料が非常に低く抑えられています。投資家は長期的なコストを意識して、商品を選ぶ必要があります。
運用方法の違い
ETFの多くは指数連動型で、特定の株価指数に連動する運用を行います。一方、投資信託にはインデックスファンドだけでなく、運用の専門家がアクティブに銘柄を選んで運用するアクティブファンドも数多く存在します。
投資家は自分の投資スタイルに合わせて、パッシブ運用のETFとアクティブ運用の投資信託を使い分けることができます。また、投資信託にはさまざまな運用方針や投資対象の商品があり、ETFよりも選択肢が豊富です。
投資信託の特徴とメリット
投資信託は長年にわたって資産運用の主力商品として親しまれてきました。プロの運用者に資産運用を任せられるのが最大の特徴で、初心者でも安心して投資できます。また、アクティブファンドとインデックスファンドの両方があり、投資スタイルに合わせて選択できます。
分散投資が可能
投資信託には、国内株式や外国株式、債券、REITなど様々な資産に投資するものがあります。一つの投資信託を購入するだけで、幅広い資産への分散投資が可能になります。これにより、リスクを抑えつつ中長期的な資産形成を目指せます。
特に、ターゲットイヤーファンドのように、投資家の年齢や投資目的に合わせて資産配分が変化する商品もあり、ライフプランに沿った資産運用ができます。
少額からの投資が可能
投資信託は、少額から投資できることも大きな利点です。数万円単位から購入でき、積立投資にも向いています。つみたてNISAの対象商品も投資信託が中心で、非課税で資産形成ができます。
投資信託を利用すれば、初心者でも少額から始められるため、資産形成の入り口としてふさわしい金融商品といえます。
ETFの特徴とメリット
ETFは投資信託の一種ですが、いくつかの点で異なる特徴を持っています。株式と同様の取引が可能で、リアルタイムの価格変動を活かせるのがETFの最大の魅力です。また、手数料が低く設定されているのも大きなメリットです。
リアルタイムの価格変動に対応可能
ETFは取引所に上場されているため、株式と同様にリアルタイムの価格変動を確認できます。これにより、タイミングを見計らった売買が可能になります。指値注文や成行注文も行え、機動的な運用が実現します。
このようなETFの特性は、デイトレードなどのアクティブな投資スタイルに適しています。一方で、インデックス投資を行う場合は、投資信託のインデックスファンドを利用する方が手数料面で有利な場合もあります。
低コストで運用可能
ETFは一般的に投資信託よりも信託報酬が低く設定されています。また、株式と同様の売買委託手数料のみで済むため、長期保有した場合のコストを抑えられます。
ただし、ETFには為替手数料がかかる場合があり、一概に投資信託よりもコストが安いとは限りません。投資家は長期的な視点でコストを比較し、自分に合った商品を選ぶ必要があります。
NISAやiDeCoの適用
投資信託とETFはいずれも、NISAやiDeCoといった非課税制度の対象となります。ただし、対象となる商品に制限があり、投資信託とETFで違いが生じます。投資家は自分の投資目的や資産状況に合わせて、利用する制度や商品を選ぶ必要があります。
つみたてNISA
つみたてNISAの対象商品は主に投資信託が中心です。つみたてNISAは少額からの積立投資に適しており、投資信託を活用するメリットが大きいといえます。一方、ETFについては取扱銘柄に制限があります。
つみたてNISAを利用する場合は、投資信託を中心に商品を選び、長期的な資産形成を目指すのが賢明です。
一般NISA
一般NISAでは、投資信託だけでなくETFも対象となります。一般NISAの特徴は、1年間の非課税枠が20万円と大きいことです。この枠を活用して、機動的な運用が可能なETFに投資するのも一案です。
また、一般NISAでは米国ETFも取り扱え、グローバル分散投資の機会が広がります。ただし、為替手数料がかかるため、コストを意識する必要があります。
iDeCo
確定拠出年金のiDeCoでは、主に投資信託が対象商品として認められています。投資信託のメリットである分散投資が活かせ、老後の資産形成に適しています。一方、ETFは取扱銘柄が限られています。
iDeCoで投資信託を活用する際は、運用コストと長期リターンを考慮し、自分のライフプランに沿った商品を選ぶことが大切です。
まとめ
投資信託とETFは、資産形成のための重要な選択肢です。投資信託は分散投資が可能で、少額からの投資に適しています。一方、ETFはリアルタイムの価格変動を活かした機動的な売買ができ、低コストが魅力です。
投資家は自身の投資目的やスタイル、長期的なコストなどを考慮し、投資信託とETFのメリットデメリットを比較して使い分けることが賢明です。また、NISAやiDeCoといった非課税制度の活用も有効な選択肢となります。長期的な視点を持ちつつ、最適な投資方法を見つけていきましょう。